汎用並列オペレーティングシステムでは、 汎用性の確保と効率の良い並列実行環境の実現という 同時に成立させることが困難な目標を達成する必要がある。 効率の良い並列実行環境の実現するため には ノード間の高速かつ 保護され仮想化されたユーザレベル通信および同期 のサポートが不可欠である。 我々は汎用並列オペレーティングシステムに適した 高速なユーザレベル通信同期として、 他ノードのメモリ空間内のデータを直接読み書きする ソフトウェアメモリベース通信 を考案し開発している。 しかし、メモリベース通信を許すことによって、 不当なジョブ間の相互干渉が避けられないのでは、 汎用オペレーティングシステム とは呼べない。本稿では、 メモリベース通信を採用した場合の 汎用並列オペレーティングシステムにおける 資源保護と仮想化方式に関して議論を行なう。結論として、 メモリ管理機構を活用した保護方式によって、 関連するアクティビティ間のメモリ保護が不要な並列実行はもとより、 サーバクライアント実行のような不当な相互干渉の排除が不可欠な アプリケーションにもメモリベース通信が適用可能である。