SSS-COREはワークステーションクラスタの上で 効率の良い並列処理を可能とする 汎用スケーラブルオペレーティングシステ ムである。本オペレーティングシステムはマルチタスクとい う汎用計算機に不可欠な機能を実現しつつ、この汎用性と従来相容れなかっ た効率の良い並列計算を実現するための各種機能を搭載する。本稿では、 まず SSS-CORE の設計思想について述べ、 最大の特徴であるメモリベース高速通信同期機構 MBCF について述べる。 次に、分散メモリ計算機上で効率良く分散共有メモリを 実現する方式について述べ、その方式をサポートする最適化コンパイラ RCOP について簡単に解説する。その後、市場経済モデルのスケジューラや 外部OSエミュレータと言ったSSS-COREの特徴的な機構を述べ、 実装された SSS-CORE Ver.1.1のスペックを記述する。 SSS-COREの基本機能および実用規模ベンチマークによる性能評価結果を示 し、簡単な開発経緯とまとめで本稿を締めくくる。 性能評価の結果、通信同期は従来型OSよりも一桁以上高速であり、並列アプリケーションベ ンチマークにおいても最高83%の性能向上を示した。